Tポイント終わる

きのう、TポイントとVポイントが統合した。と言っても、Vポイントがなんなのか知ったのはごく最近。記事を読めば、Tポイントは2003年に始まっている。もう少し前からあった気がしてたので、ちょっと意外。それなりにお世話になった。

初めてTポイントを知ったとき、たかがレンタルショップ(全国展開してたとしても)がよくそんなこと企てたなと驚きつつ、記憶に間違いがなければファミリーマートが初期のころからTポイント加盟店になってて、TSUTAYAよりファミマがやりそうなもんだと、ある意味、TSUTAYAってスゴいと思わせられました。

TSUTAYAといえば、本の代わりに雑貨のスペースが増えたり、カフェを併設したり、数年前から業態が変わってきている。それは僕が望む方向とはまったく逆で、単純に本やレンタルビデオの種類が多いほうが僕は好きなのである。町の書店が経営的に大変なのは分かるけど、初期のTSUTAYAの経営方針ではやっていけないのだろうか。さみしいもんである。

大谷176号

大谷が大リーグでの通算ホームラン数を176に伸ばし、松井秀喜の記録を抜き日本人最高となった。

大谷はこのホームランを「特別」と言っているが、本当はどうでもいい記録だと思っていると僕は思う。そんな数字にたいした意味はない。ただ、マスコミが大谷をニュースにしたくて(テレビでも新聞でも大谷のニュースは人気があるから)、「松井越え」を話題にしているだけである。だけど、大谷としては「どうでもいい記録です」とは言えない。松井に失礼になるからだ。だから、「特別」だと言っている(と思う)。

日本人に限らないかたちでの大リーグでの年間最多ホームランとか通算ホームラン(これはさすがに難しいか)を達成したとき、本当の「特別」になる。がんばれ大谷選手。

にしても、日本人選手通算で第3位がイチローっていうのが、けっこう驚いた。

Last Days 坂本龍一 最期の日々

NHKスペシャル

自分も歳をとると、人が死を迎えるとき、痛みや恐怖にどのように対峙するのか気になってくる。それは別に有名人でなくてもいいのだが、やはり「世界のサカモト」だから見てしまう。一般人のそれだと見ていて辛くなりそうで。

坂本は死ぬギリギリまで音楽活動をやめなかった。というか、それが病(というより死)に対抗する唯一の手段だったのだろう。簡単に言ってしまえば、音楽が心の支えだったということ。

亡くなる2日前に子供たちを呼び、「いい人生だった」と言える人生は、(少し短かったけれど)いい人生です。

水原一平氏違法賭博

大谷自身が会見で説明したことの反応は、大谷は賭博に一切関わってなくてよかった、大谷の言うことをを信じる、といったものが多いようだ。ただ、本当にそうなのか、本当に信じていいのか、といった一抹の疑いをみな押し隠しているようにも見える。

それは水原氏の説明が二転三転したことや、どうやって水原氏が大谷の口座から違法ブックメーカーに送金したのか明らかにされていないことから発生している。水原氏が最初、大谷に借金の肩代わりをしてもらったとインタビューに答えたのがウソだとしたら、なぜそんなウソをつく必要があったのか分からない。自分は窃盗したのではないと見せたかったのかもしれないが、そんなすぐに分かるウソを、しかも大谷に迷惑がかかるだろうウソをつくのは不自然に思える。

また、どうやって送金したのかを大谷が知らないはずはない。自分がまったく知らない間に自分の口座から送金されていたのであれば、水原氏以外でもそれが可能なのか確認するだろうし、再発防止を図るはずだからだ。だけど、送金方法について会見で大谷は説明していない。捜査の妨げになるとか、そんな事情があってのことかもしれないけど。

大谷は誠実な人だとみんなが思ってるし、僕もそう思っている。なにか間違いを犯しているとしたら、正直に告白するような人間だと思っている。たとえそのせいで巨万の富を失うとしても。だから、僕が最初に大谷を疑う文章を書いたことが、僕が疑り深い人間の証明でしかなく、大谷が無実の被害者であってほしいと切に願わずにはいられない。だってみんな大谷のことが大好きなんだから。

魔女の宅急便

★★⭐⭐⭐

テレビで放映していたので、久しぶりに観なおした。悪くない。なんなら面白いと言ってもいい。

もし小学4年生ぐらいの女の子と映画館に行くことになったら、この映画を観るのがベストチョイスだろう。恐くないし、悪い人間もほとんど出てこない(唯一、おばあちゃんからのニシンのパイ包みを面倒そうに受けとる女の子が小さな悪役である)。だから安心して気持ちよく映画を観ることができる。そんな映画である。

鳥山明逝去

1日。68歳。

少年ジャンプで「ドラゴンボール」を読んでいた。途中まで。アニメは見ていないが、バトルシーンが多かったようで、僕が求めていたものではなかった。

マンガの方で言えば、ファンタジー感が色濃かった頃にワクワクして読んでいた。だいぶ記憶が薄れたが、空までつづく1本の棒(だったと思う)をてっぺんまで上り、そこに住む仙人(だったと思う)と戦う(と言っても、いわゆるバトルモノの闘いではなく、ユーモラスだった)うちに悟空が強くなっていくエピソードはすばらしく面白かった。

新聞記事によれば、鳥山氏は「戦闘シーンより、くだらない笑いを描いてる方が、ずっと好き」「好みなのは地味めで軽い内容」と話していたらしい。僕もそっちの方の鳥山作品を読んでみたかった。

ドラゴンクエスト」のキャラクターデザインにも魅了された。「ドラゴンボール」の連載を描きながら、よく他の仕事ができるもんだと驚いた。しかもその出来映えが最高にカッコいいのだから。

68歳は早すぎた。一度爆発的に売れた作家が晩年をどう生きるか、作品を作るモチベーションがあるのか、若い頃の自分を超える作品が描けるのか。それを見るのも、ときに残酷な楽しみなのだが、果たせなくなった。

ご冥福をお祈りしたい。

 

気候変動問題

気候変動問題の解決は大事だ。対策を怠ると、海抜の低い島国が海に沈んだり、砂漠が拡大したり、さまざまな問題が発生する。解決のための取組はすぐに実施しなければならない。

が、それより重要な問題があると思っている。化学物質だ。例えばマイクロプラスチックやPFASなど、最近は危機意識をもった新聞記事も目にする。気候変動で島がなくなっても、砂漠に国土が侵食されても、極論を言えば別の場所に住めばよい。無論それは簡単なことではないが、少なくとも気候変動で海や土が汚染されることはない。しかし、化学物質の廃棄や漏洩は、海や土や空気を汚染し、百年、二百年、場合によっては何万年も分解されずに自然界にとどまる。そして、人間を含む動植物のからだに蓄積していく。自然界に拡散した化学物質も動植物が取り込んだ化学物質も決してなくなりはしない。人間も他の動植物も健康を害する。治ることのない病をもつ。

海の水を浄化したり、土壌を洗浄する機械ができることを夢見る。しかし、そんな機械が完成することはないだろう。

汚染物質を回収することは極めて困難である。いま以上に増えることを防ぐしかない。対策が1年遅ければ1年分の汚染が何万年も残るのである。

かがみの孤城

★★⭐⭐⭐

思ったより楽しめた。

映像的には大したことはない。作り込み感がまったくなく、テレビアニメのレベルと大差ない。

が、ストーリーが結構いいのである。最後、ちょっとウルッときたりする。絶賛するというわけじゃなく、まあ大人の鑑賞にも耐えるといったところ。

高瀬庄左衛門御留書

★★★★⭐

面白い。若い頃、時代小説はいっさい読んだことがなかったが、歳をとるにつれ読むことが増え、どれも面白いと感じる。たまたま面白い時代小説を選んでいるだけだと思うが、歳のせいも少しあるかもしれない。

本作では『罪と罠』の章がハイライトだろう。立花監物の謎解きまがいの抗弁が痛快である。この小説に散りばめられた謎を一気に解いてみせる。目付役筆頭の山野辺に対してからかいを含んだ言説で説き伏せてしまう様に快哉を叫びそうになる。

そうなんである。本作を時代小説と言ったが、ミステリー小説でもあるのである。そうとは思っていなかったのに、いくつもの伏線が張られ、『罪と罠』以降の章で回収されていくところはまさにミステリー小説だ。

面白すぎて『罪と罠』のとこを再読したら、何が面白かったのかもう分からない。歳はとりたくないものである。

オーガ(ニ)ズム

★★★⭐⭐

文庫で上下2巻の分量ではあるものの、読み終わるのにずいぶん時間がかかった。たぶん7か月以上。その間に近しい人が二人亡くなった。

面白くはあったのだが、読んでてすぐに眠くなった。酒を呑みながら読んでいたからだけではないだろう。たぶん何かが足りないか、何かが余計だったのだと思う。

『ブラック・チェンバー・ミュージック』と比べてみよう。『オーガ(ニ)ズム』は登場人物の魅力が足りない。今風に言うとキャラが薄い(という言い方でいいのかあまり自信はない)。『ブラック~』の登場人物はキャラが立っていた(言い方まちがってないですよね)。

オーガニズム』は仕掛けが多すぎた。アヤメメソッドは現実的でないし、携帯型核爆弾は結局フェイクだし、阿部和重の妻川上がいつ登場するかと思っていたら最後まで出てこないし、ほかにも多くの思わせぶりな事柄や登場人物が「思わせ」の範疇を超えず意味があったのか疑問だ。

それでも『オーガ(ニ)ズム』は面白い。そもそも阿部和重はもっと評価されていいし、もっと売れていい作家だ(私が知らないだけで、十分評価されてたくさん売れているのかもしれないけど)。でも、あの傑作(と私が思っているだけかもしれないけど)『ブラック~』ですら、新刊発売時に某新聞の隅っこに地味に広告が出ていただけで、書店でお目にかかったことはない(店内を探して回ったわけではないけど)。『ブラック~』は映画にしたらヒットすると確信している。なんなら私が監督兼プロデューサーで作りたいくらいだ。(言わずもがなだが、そんな才能もカネも私にはない)

結局、『ブラック~』の記事になった。でも、『オーガ(ニ)ズム』も面白いんだよ。