柴田元幸編訳、畔柳和代訳
『おばあちゃんと猫たち』
シャーリー・ジャクソン著
★☆☆☆☆
きっとどこか優れた作品なのだろうがそれが全く理解できない。
家で飼っている猫がなぜかおばあちゃんを嫌う。その猫がいなくなって別の猫がきても同じようにおばあちゃんを嫌う。噛みついたり、寝ているおばあちゃんのお腹の上で跳び跳ねたり。そんな猫たちも、いなくなるとおばあちゃんはがっかりした。という話。
『プール・ピープル』
アリソン・ルーリー著
★★★☆☆
おしゃべりな義母にうんざりする女性のコミカルな話かと思っていたら、当然ホラーに変わるという驚き。
うまくできてるのだが、一点わからないことがある。去年工事を頼んだときの2人の職人は、義母が言うように仕事が杜撰だったのか、本当はきちんと仕事したのに義母がゴネて工事代金を払わなかったのか、どっちなんだろう。もしも義母が言うことが正しければ、2人に起こった悲劇(交通事故と飛び降り自殺)を自業自得とまでは言わないが、「あなたたちにも非があった」と言いそうになって、物語としてちょっと納得しづらくなる。
『リバイバル』
ジュリアン・バーンズ著
★★☆☆☆
年老いた作家が書いた戯曲の改変を若い女が依頼する。女が出演する戯曲を見に行く老作家は女に恋をする。女が乗る列車に老作家は途中の50キロ同乗する。女の手にキスをしても、それ以上踏み込めない。
老作家がトルストイの屋敷に滞在したとき、この小説は初めて老作家の名前を明らかにする。ツルゲーネフ。
なんだ、それならそうと始めから教えてくれたらいいのに。そしたらも少しちゃんと読んだのに、というちょっと残念な驚きを与えるのが作者の狙いですね。
『You Must Relax!』
ジョアンナ・スコット著
★★★☆☆
マッジおばあちゃんはウォークインクローゼットの中で数を数える。
その祖母はむかしガーデンパーティーで起こったことを孫に話して聞かせる。息子のルー(孫の父親)がデザートを運ぶ際ガラスのボウルを落としてしまったことを。ガラスの破片を集めてくれた男は、数年前に関係を持った医師であり、その容貌とルーのそれは遺伝子の繋がりを周りの客たちに容易に想像させた。
マッジの夫はギリシャに向かう船からいなくなる。
マッジは夫の子を産み、スプラッグトンに引っ越した。転入者を歓迎するパーティーでレディ・バートに会う。6ヶ月も眠っていないというその老女を、マッジは「漸進性リラクセーション」のマッサージであっという間に眠らせた。その技はあの医師がマッジに施したものだった。でも、効き目があったのはこの一回だけで、他の人に試しても効果はなかった。
前半は面白くもないが、レディ・バートが出てきてから俄然面白くなる。といっても、偏屈な老女を催眠術まがいの方法で眠らせるだけである。それがなぜ面白いのか自分でもよく分からないが、「どうぞおやりなさい!」と底意地悪く言い放つ老女に「できなかったら町を出ていく」と強弁するマッジをユーモラスに感じたからだろう。
『紳士のC』
パジェット・パウエル著
★★★☆☆
1ページ目をめくって、やりやがったな、という感想。うまいね。
『ミスター・イヴニング』
ジェームズ・バーディ著
☆☆☆☆☆
裕福なオーエンズ夫人はある日、ウォール・ストリート・ジャーナルの告知を見る。夫人が持っている、1910年代の陶器のカップに関する情報を乞うたものだった。夫人は広告主であるイブニング氏を毎週木曜日に家に招く。食事でもてなし、コレクションを少しずつ見せるが、譲ったり売ったりする気はまったくない。最後には、イブニング氏をベッドに寝かせ裸にする。
なにが面白いのかまったく分からない作品である。柴田元幸が翻訳した作品は、面白いか面白くないかどっちかで、その中間はない。
『ハムナイフであんたたちのお父さんを刺したのは私じゃありませんよ』
エレン・カリー著
★☆☆☆☆
夫を刺したであろう夫人とその息子と双子の姉妹、それに夫人の友人が、病院の待合室で互いをおちょくったり非難しあったりしている。ちょっと変わったコントか会話劇のよう。
『冬のショパン』
スチュアート・ダイベック著
★☆☆☆☆
放浪癖のある祖父ジャ=ジャが家にきた頃、アパートの大家の娘マーシーは妊娠して大学から帰ってきた。ジャ=ジャは台所でバケツに足を突っ込み、孫である「僕」はテーブルで宿題をする。大家のミセス・キュービアックは娘のことが心配で、「僕」の母親に相談をするが、マーシーは堕胎せず、父親が誰かも教えず、部屋でピアノを弾く。「僕」は曲名が分からないが、ジャ=ジャが教えてくれる。
季節が変わる頃、マーシーがいなくなる。ミセス・キュービアックが探しても見つからない。疲れはてた頃、マーシーから手紙が届く。息子が生まれたとの知らせに、ミセス・キュービアックは一度だけ会いに行ったが、もうどうでもよくなっていた。