渦 妹背山婦女庭訓 魂結び

30年くらい前、大阪で仕事をしていた時期がある。仕事が終わるとよく道頓堀に遊びに行っていた。パチンコしたり飲み屋に行ったり。たまに映画も観た。作中に角座という芝居小屋が出てくるが、僕の知っている角座は映画館だった(ような気がする)。

記憶がはっきりしないが、御堂筋かどこかで文楽を観た。太夫の言葉がわからず、面白いとも思わなかった。以降、文楽を観たことはない。

でも、300年前は、浄瑠璃や歌舞伎は最先端の娯楽だったらしい。現代のコントや漫才に近い感覚で観られていたのだろう。

芸人や俳優の卵たちがアルバイトしながら舞台に立つ夢を見ているように、当時も浄瑠璃や歌舞伎が好きで堪らない若者が苦労を苦労とも思わずもがいていたのだろう。