君のクイズ

★★★★⭐

出だしがいい。クイズ番組で問題文が読まれる前に回答ボタンを押すという、ゼロ秒押しで王者が決まる。この小説は、敗者となった主人公が、ゼロ秒押しがヤラセだったのかそうでなかったのかを推理する話である。

読者は、ゼロ秒押しにはなんらかの合理的な理由があるだろうと期待し、早くその場面にたどり着きたい。その欲求が読み進めるための強烈な推進力になるのだが、反面、結末にたどり着くまでの行程がまどろっこしくもある。が、読み進めるうちに、その行程自体も面白くなってくる。

結末は衝撃的ということもないが、小説的には納得のいく終り方だった。途中の一見まどろっこしい行程があってこその着地点である。アイディアが優れた小説だが、構成や文章もきっちり計算されてるなという印象。楽しめました。