東京ヒゴロ

★★★★★

第三巻で完結。ちょうどいい長さだった。これ以上続けると個々の回は優れていても、作品全体としてはダレそうな気がしたので。

誰が主人公だったのだろう。塩澤ではない。彼は狂言回しである。長作か。たぶん半分は当たっていよう。それぞれの回に登場する、塩澤が口説き落とそうとする作家たちも、それぞれの回の主人公ではある。そして、青木や草刈や林や編集長などレギュラー出演陣もときどき主演クラスの働きをした。なかでも草刈は切ない。ほかの登場人物はいろいろ苦労はあってもたいがい報われる。岩田カエルや嵐山もおそらくマンガを描くことを再開した。でも、草刈だけはマンガを諦めた。自らに才能がないことを自分自身が一番よく分かっていたから。才能がなくても才能があると思い込めるのが才能だったりするのだが。