破局

第163回芥川賞作品。

破局」というタイトルから、なにか重いテーマなんだろうかと思っていたら、単なる男女の「破局」だった。今どきそれを「破局」という硬い言葉で表すのかと驚くほど内容と合わないタイトルだ。

そして、主人公には感情移入ができない。たぶんほとんどの人が、主人公に気持ち悪さを感じるだろう。それは作者の意図だったのかもしれないが、それでこの作品が傑作になったわけでもない。

いつも読者が主人公に感情移入する話ばかりでなく、悪い人間を悪い人間側から小説を書いたらどうなるんだろうと思っていたが、今作は「悪い人間」ではなく「嫌いな人間」でしかないが、やはり、そういった人間を主人公にしても面白くはないな、というのが結論。