新選組の料理人

どう読んだらいいのか悩み悩み読んだけど、最後まで方向性を見つけられなかった。どういうことかというと、例えば表題作の「新選組の料理人」では、火事で逃げた奥さんから連絡がこないのはきっと何か理由があって、それがハッキリしたときに涙を誘う、そんな感動ストーリーかと思っていた。ところが、奥さんは主人公を捨てて浮気の相手に走っただけで、しかも主人公が我が子と思って育てた子が浮気相手の子だったなんて、やりきれなくて可哀相すぎる。この小説のカタルシスがどこにあるのか分からなくなった。その後も、近藤勇が、わざわざ仲の悪い原田と斎藤を一緒に仕事をさせて面白がったりとか、思い入れのできる登場人物が出てこないのである。

決して面白くない作品ではないのだけど、最後までどこを面白がったらいいか分からないままでした。