加速してゆく

★★⭐⭐⭐

「11文字の檻」の一編目。

JR福知山線脱線事故が出てくる。事故としての重さが小説に使われることを許さない気がする。ミステリーとして必要な要素でもない。なのになんでと思って巻末の「著者による各話解説」を読めば、元々は9人の作家が平成に起きた事件や出来事を題材に短編を書くという企画本の一編だったということだった。

ということはどうでもよく、言いたいことは別にある。作中、主人公が入った喫茶店で、スキマスイッチの「全力少年」が流れる。特にストーリーに関係するわけではない。そして、本を読んだあと、僕は用事があって車で外出した。すると、つけっぱなしのカーラジオから「全力少年」が流れた。今日、たまたま読んだ小説とたまたま聴いたカーラジオの両方で「全力少年」!シンクロニシティである。

こういうことは僕にはわりと起こる。そして、それによってなにか神秘的なことが起きるようなことはまったくない。いつも、ない。ほんとにムダな偶然である。