アステロイド・シティ

★★⭐⭐⭐

ウェス・アンダーソンの映画は大好きで、リアリティのないことをリアルに表現することで不思議な魅力を生み出している。そういう意味では本作もウェス・アンダーソンらしい映画なのだけれど、今回は何を描こうとしたのか意図が分からなさすぎて、戸惑いというかおいてけぼりを喰らわせられたというか、要するに「謎作」と呼ばれるような出来上がりである。

東京ヒゴロ

★★★★★

第三巻で完結。ちょうどいい長さだった。これ以上続けると個々の回は優れていても、作品全体としてはダレそうな気がしたので。

誰が主人公だったのだろう。塩澤ではない。彼は狂言回しである。長作か。たぶん半分は当たっていよう。それぞれの回に登場する、塩澤が口説き落とそうとする作家たちも、それぞれの回の主人公ではある。そして、青木や草刈や林や編集長などレギュラー出演陣もときどき主演クラスの働きをした。なかでも草刈は切ない。ほかの登場人物はいろいろ苦労はあってもたいがい報われる。岩田カエルや嵐山もおそらくマンガを描くことを再開した。でも、草刈だけはマンガを諦めた。自らに才能がないことを自分自身が一番よく分かっていたから。才能がなくても才能があると思い込めるのが才能だったりするのだが。

VIVANT

★★★★⭐

びっくりする展開の連続で面白かったのだが、びっくりさせることがこのドラマの一番の狙いであって、なんていうか、深みとか綾とか機敏みたいなものはほとんどない。けど、それが潔くてよい。ビックリしたでしょ?面白かったでしょ?と、畳み掛けてくるエンターテイメントである。

じっくり見るとたぶんいろんなとこにボロが出てくる。たとえば、最終話で乃木憂助がベキと部下の2人を射殺するけど、急所をわざと外すことができる腕前の憂助がなぜそのときは外さなかったのか。答えは簡単だ。それは、その方がストーリーとして面白いからである。合理的に考えれば、殺す必要はまったくないけれど、ドラマ的には殺したほうが盛り上がるから殺した。ただそれだけ。

といったことが、このドラマではどきどき見られた。けれど、あれ?なんかおかしくない?と思わせるスキを与えずどんどん話を進めて、視聴者は疑う余裕がない。それなら僕たち視聴者は、びっくりさせられましょう、面白がりましょう、と楽しむだけである。

岸田首相3863万円

昨年の国会議員の所得が公表された。

思うところが二つある。

一つ目。隠してないだろうかという不信。株とか不動産で儲けてたりしてないのだろうか。あるいはそれらは公表の対象でないとか、奥さんの名義にしてるから公表されないとか、そういうことなのだろうか。

二つ目。首相の給料が安すぎるということ。一国の首相の給料なんだから100倍くらいあっていい。100倍でも38億円。トヨタや日産の社長が10億円くらいか。民間企業のトップの3倍ぐらいあっていいでしょう。

ただし、その額に見合うだけの仕事をしていない場合は除く。岸田首相なら、逆に30億くらい国庫に納めてほしいものです。安倍元首相なら30兆円払っていただきたい。アベノミクスとやらで国の借金どれだけ増やしましたか。30兆円じゃ足りないくらいです。

are you listening?

★⭐⭐⭐⭐

2020年のアイズナー賞受賞作らしい。アイズナー賞がどんな賞か知らないけれど。

ほぼ全編を通じて絵が暗い。悲惨とか悲嘆とかいう意味の暗さではなく、単純に明度が低い。印刷を失敗したのかなと思うほど暗い。だいたい夜のシーンばかりなので仕方ないとこではあるが、夜でもライトがついていたりするはずで、暗いばっかりだと絵としての面白さがなくなる。

ストーリーも別に面白くもない。マンガっぽくないストーリーを、アメリカでマンガにすると評価されるのかもしれない。

マネーボール

★★★⭐⭐

ふつうだったら統計的手法を使って試合に勝つチームが敵役で、友情とか希望とか根性とか精神論で勝とうとするチームが主役になるはずだが、この映画ではちょっと違う。あくまで統計的手法で勝とうとする。もちろん貧乏球団が金持ち球団に挑むとか、統計的手法を信じるものがいない中で信念を曲げないとか、観客を感動させるいつもの約束事は踏襲している。というか、そこがこの映画の魅力ではある。ストーリーは単純でひねりはなく、実に分かりやすい。楽しく観れる映画だ。

世にも奇妙な物語'23夏

お姫様クラブ★⭐⭐⭐⭐

小林家ワンダーランド★★⭐⭐⭐田口浩正がいなけりゃ★(星ひとつ)だった

視線★★★⭐⭐なんとか及第点

虹★⭐⭐⭐⭐

世にも奇妙な物語」はたまにすごく面白いものが出るのでチェックするのだが、今回はハズレばかりで時間のムダでした。「視線」はギリギリ及第点だけど。

シン・エヴァンゲリオン劇場版:Ⅱ

★★⭐⭐⭐

タイトルの最後の「:」のあとが「Ⅱ」っぽいけど、たぶんちがう。さらに、ディスクには3.0+1.11と書いてあって、なにがなにやら分からない。タイトルだけならまだしも、内容はもっとわけが分からない。出だし、シンジくんは相変わらずグジグジしてて、またかって思う。まあそれはいいとして、どんどん何が言いたいのか分からなくなる。途中からどうでもよくなってくる。TVシリーズはわけが分かんないなりに、それが一種謎めいていてよかったのだけど、ほんとなら劇場版で謎解きになって大団円になるところ、謎解きになっているのかいないのか、それすら分からない。

82年生まれ、キム・ジヨン

★★★⭐⭐

ジヨンの気持ちはよくわかる。男には分からない、と言われそうだけど、そしてたしかに全部を分るはずなどないけれど、それでも分かる。分かるから、この小説は面白い。この小説は、分からせる小説なのだ。そういう意味では、文学ではなくて、たんなる小説なのだ。そういうこと言うと、文学でなくてなにが悪いと、言い返されそうな気もするけど、こちらとしても悪口を言ったつもりはない。これはこれですぐれた小説だと思う。

上岡龍太郎死去

関西に住んでいた頃、深夜に「パペポTV」を見ていた。上岡龍太郎鶴瓶の掛け合いは何気ないようでいて、あれだけ笑わせられるのはやっぱりプロの仕事だ。

もっとも面白いのは9割がた鶴瓶のほうだと思うが、上岡龍太郎鶴瓶を生かすワザをもっていたということかもしれない。わからないけど、長く売れていたというのはそういうことなんだろう。

合掌。