novel

渦 妹背山婦女庭訓 魂結び

30年くらい前、大阪で仕事をしていた時期がある。仕事が終わるとよく道頓堀に遊びに行っていた。パチンコしたり飲み屋に行ったり。たまに映画も観た。作中に角座という芝居小屋が出てくるが、僕の知っている角座は映画館だった(ような気がする)。 記憶がはっ…

知恵出ず

門井慶喜の読売新聞連載小説が完了した。 面白かった。 でも、なぜ徳川慶喜と同じ名前なんだろう。

小説の惑星 オーシャンラズベリー篇

伊坂幸太郎が面白いと思った短編を集めたとのことだけど、なかにはこのどこが面白いのだろうと悩むものもある。 私が面白かったのは、大江健三郎の「人間の羊」と、もうひとつあって、これは面白いと実は言いにくい、なぜかというと、「へえ?こんなのが面白…

掟上今日子の備忘録

今日子さんは読んでいてキュンとくるけど、ミステリーとしてはそれほどでもないなと読み進めると、第五話(この本の最終話)で俄然面白くなる。が、第五話はミステリーっぽいけれどミステリーではない。ミステリーというのは、ストーリーのどこかにヒントを忍…

新選組の料理人

どう読んだらいいのか悩み悩み読んだけど、最後まで方向性を見つけられなかった。どういうことかというと、例えば表題作の「新選組の料理人」では、火事で逃げた奥さんから連絡がこないのはきっと何か理由があって、それがハッキリしたときに涙を誘う、そん…

残月記

新聞とか雑誌の書評で激賞されていたので買ったのだが、あとで思い起こしてみると、それらはみな大森望が書いていた気がする。大森望という人がどんな人なのか知らないが(たぶん文芸評論家なのだろう)、作者の小田雅久仁という人も全く知らないので、あとで…

短編小説

昔買った小林恭二の短編集を引っ張り出して読んだのは一月以上も前のことで、もともと記憶力が悪い私はその本のだいたい全部を忘れてしまった。覚えているのは、作者の知り合いで俳句の先生か先輩かなんかだった人の話と作者の父親の話の二つだけで、しかも…

また会う日まで

朝日新聞掲載の池澤夏樹の連作小説が終わった。しっかり取材したと思われる労作である。

プラナリア

山本文緒が昨年10月に亡くなったことを知り、文春文庫を買った。 ジャンルで言えば恋愛小説なのだろうけれど、恋愛が主題ではない。性愛小説?でもない。「生きていくこと」への不安がテーマのようだ。これが、「生きていること」への不安がテーマだと重くて…

長い長い殺人

新聞広告に「100万部突破」と謳われた宮部みゆきの文庫。まったく聞いたことのないタイトルだったので、出版社(光文社)のウソ、とは言わないまでも、ほんとうは「うちの出版社の宮部みゆき作品が100万部突破」とかじゃないのだろうかと疑いつつ、TSUTAYAで購…

虚談

京極夏彦の角川文庫。 どの作品も会話のやり取りが面白い。言葉の選択やリズムなどいかにもありそうでいながら、おそらく現実でこんなに面白い会話が成立することはない。言ってみれば、一流の漫才師かコント師が練りに練った会話劇のようである。 「ベンチ…

無月の譜

毎日新聞連載の松浦寿輝の小説が完結した。それほど大きな山場はなく淡々と話が進んでいた印象だが、結構面白く読めた。井筒啓之の挿画も良かった。

元彼の遺言状

読みはじめてすぐに、ああ、こんな感じか。マンガ読むつもりで読めばいい、時間潰しの小説だろうと思った。ところが読み進めるとどっこい素晴らしい作品だった、とはならず、最後までマンガ並み(というのがマンガに失礼なくらい)だった。 「このミステリーが…

ある男

平野啓一郎の書いたものは、「日蝕」と「マチネの終わりに」しか読んだことがなく、前者は内容を全く覚えていないが、やけに難しかった記憶があり、後者は中年男女のメロドラマでしかなかった。 今回の「ある男」は僕にはちょうどいい感じの作品だった。難し…

女のいない男たち

この短編集の中の一作(ドライブ・マイ・カー)が映画化されて、カンヌだかヴェネチアで脚本賞を獲ったおかげで、文庫が書店の目立つところに並べてあった。村上春樹の小説は結構読んでいて、たぶんこれも読んだはずだと思って家の本棚をあさってみたけど見つ…

星屑

村山由佳の新聞連載小説が終わった。 少女マンガを小説にしたような作品だった。

ヒトコブラクダ層ぜっと

出だしこそ面白そうな雰囲気があったものの、その後はほぼ盛り上がりに欠けた。どうしたんだ万城目学。「鹿男あをによし」は読んでないけど、ドラマは無茶苦茶面白かったのに。「プリンセス・トヨトミ」は映画は観てないけど、小説は無茶苦茶面白かったのに…

ミチクサ先生

伊集院静が日本経済新聞に連載した小説が22日に終わった。 正岡子規を好きになってしまった。

恋ふらむ鳥は

澤田瞳子の毎日新聞連載小説が先月末に332回で終了。 読みにくくはあったが、まずまず面白かった。

鳩の撃退法

ある作家(津田伸一)が書いた小説という体裁になっており、その小説の中の事実とその小説の中で書かれた(そしてその小説の中に出てくる登場人物の何人かに読まれる)小説との区別が分かるところは分かるが、分かりにくくもあって、また、小説の中の事実や小説…

紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人

主人公の紙に対する知識や土生井のジオラマに対する蘊蓄が、仕事小説のように読者の興味を刺激するため、一見中身が詰まった小説みたいに思えるけれど、それらのほかは文章の拙さ(そう言って悪ければ、文章の深みのなさと言い換えますが)を含めて、この小説…

上野駅公園口JR

真っ先に思ったのは、タイトルは「池袋ウエストゲートパーク」(池袋西口公園)をマネたんじゃなかろうかということ。ただこれは、読み始めたら特に気になることはなかった。 次に思ったのは、なぜこの作品が全米図書賞を受賞したのかということ。その賞がどう…

ガラスの動物園

何が面白いのか分からない。1944年に上演されたので、そのときは面白かったけど今はそうではないということなのだろうか。 つまらないというわけでもなかったので、「欲望という名の電車」も読んでみたい。

ブラック・チェンバー・ミュージック

ジャンルでいえば、ミステリーになるのか、でも殺人犯を見つけるわけでもないので、ハードボイルドとかサスペンスとかになるのか、それと恋愛小説の要素もあるし、カテゴリーをはっきりさせるのは難しい。 でも、面白い。今年読んだ小説の中では断トツに面白…

ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち

「少女マンガに出てきそうな」と例えたくなるような主人公である。こんなコ現実にはいないが、なに、そんなキャラクターを愛でて楽しめばいいのである。 そして、キャラがゆるいからといって、ストーリーも緩いだろうと侮ってはいけない。けっこうちゃんとミ…

太陽の門

この間まで日経新聞に連載されていた「太陽の門」は、赤神諒が作者だが、僕はその名前をまったく知らなかった。 主人公の名前はといえば、映画「カサブランカ」と同じリック。わざと同じ名前にしたのは明らかだ。性格もセリフも似ている(と思う。映画のほう…

「レインメーカー」

真山仁の新聞連載小説が今日で終わった。 どこがヤマか分からないまま、唐突に終わってしまった。

「あなたに似た人」

どこかの番組で真っ赤な服を着た芸人(カズレーザー)が、「あなたに似た人」の中の「南から来た男」を絶賛していたので、TSUTAYAで買ってきた。 カズレーザーが二、三十秒で説明した、粗筋よりもさらにアラアラなスジかとても面白かったのだが、実際に読んで…

首里の馬

タイトルからのイメージと全然ちがって、初期の村上春樹っぽい作品である。

ホテルローヤル

ホテルローヤルにまつわる7つの短編が現在から過去に向けて、つまり時系列とは逆に並べられている。 ちなみに、5番目の『せんせぇ』にはホテルローヤルは出てこない。女子高生と教師が二人して釧路に向かうエンディングが、唯一、釧路にあるホテルローヤル…